Friday, October 17, 2008
今日の一言@ニューヨーク:Book reading by the author of the China Lover, a new fiction based on Yamaguchi’s life story
昨晩(16日)、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催された新刊本”the China Lover“著者の講演に行ってみました。40名くらいの米人、日本人が集まっていたでしょうか。この本、日本で外国雑誌などの記者経験のあるイアン・ブルマ氏による小説で、山口淑子(李香蘭)の自伝に基づいて小説化したという、意欲的な作品。
ブルマ氏によると、山口の自伝とインタビューをベースにドキュメンタリーで書くことも考えたそうです。でも、つまらなくなるか、むづかしすぎるかジレンマがあったところ、ある人からこの奇遇な人生は小説で表現するのがいい、と半分冗談で持ちかけられたのがきっかけで小説化を決断したそうです。
ブルマ氏は、ひとりの女性の役割の変化と日本の変化を重ね合わせ、複雑な時代背景、複雑な日本の文化と歴史を絡めた小説の意図を説明され、小説の中から数ページを読んで紹介してくれました。そして熱心な質疑応答が行われました。
小説は、彼女の人生の歩みを3部に分け、日本の戦前の帝国主義台頭と満州立国(李香蘭時代)、戦後の復興と成長(シャーリー山口としてのハリウッド時代)、そして高度成長後のオイルと中東がらみの外交の時代(山口・大鷹時代)を焦点にしています。3つのセクションは、それぞれその時代に山口と出会う3人の全く性格も背景も違う男性の目を通して語られます。その男性3人はすべてフィクションで存在しませんが、山口とその時代の取り囲みの人物はほとんど全てが実在しています。
私は数年前に日経さんの「私の履歴書」で山口氏の連載を読み、そのころ彼女の「私の半生」も購入して熱中して読みました。「3時のあなた」のあとに自民党議員であった方とは知ってましたが、全く関心もなかった若いころと違い、歴史に翻弄され、ある意味では歴史を翻弄する役目もしていた女性という観点で興味をもったのでありました。それに、あの、イサム・ノグチと結婚していたことにも衝撃を受けました。
ブルマ氏にはサインをもらって、握手をしてもらい、本格的にはこれから読むところです。ニューヨークタイムズのBook Reviewでは絶賛とはいかない評価でしたが、私なりに楽しみたいと思います。