Tuesday, May 19, 2009

今日の一言@パリ: The wonderful world of Albert Kahn





2年前、日本でNHK・BS放送の海外ドキュメンタリー「奇跡の映像、蘇る100年前の世界」を見ました。英国BBC放送制作で、フランスの銀行家アルベール・カーンが1908年から30年ごろまで世界各地に写真家を派遣して、映像記録をした膨大な資料を紹介した番組でした。

50カ国以上で記録した写真や動画が今でもカーンの住んだパリ郊外のブーローニュの森の資料館に保存されています。彼は銀行事業で日本との関係も深く、当時の日本の政治家や皇族との交流もあって日本に関心が深く、日本庭園をその広大な敷地に作りました。今ではアルベールカーン美術館(Musse Albert Kahn)として公開されています。海外ドキュメンタリーをみて以来、私はずっと行ってみたいと思っていました。この週末、ついに訪問してみました。

メトロ10番線の最終駅、Boulogne Pont de Saint Cloudで降りてすぐ、ブローニューの森の南西にある美術館では今年8月まで1915年と1928年に2度にわたって記録されたインドの映像を特集展示しています。当時としてはめずらしいカラー写真であったオートクローム(Autochrome)技術を使った映像で、インドの各地の様子を見ることができました。

日本の映像も数多くあるのですが現在は展示していません。しかし、資料室のコンピューターでいくつかの映像と写真を見ることができました。1910~1930年ごろの東京、日光、田沢湖、京都、奈良などの映像のほか、大正天皇の葬儀の様子や昭和天皇のパリ訪問などの映像がありました。当時の東京駅、その周辺の丸の内あたりでしょうか、欧州のような町並みでした。着物をきた男女が忙しそうに歩くなか、ロンドンの警官のような服装のおまわりさんがいるもの不思議な感じでした。空襲でなくなる前の東京、みた事がありませんでした。

またアルベールカーンは当時フランスに駐在されていた北白川宮城久王と房子妃と親しかったようで、資料映像にはおふたりがカーンの別荘でくつろぐ様子や友人らと和やかに歓談する写真などがありました。

日本庭園は地味ですが、楓や桜も数多く、季節によって美しいと思います。今はあやめとつつじがちょうどきれいでした。(写真は庭園で)

アルベールカーン美術館については日本語で書かれたサイトがあります。
http://www.museesdefrance.org/museum/serialize/mon..
NHK、BS放送については次にあります。いつか全編を観たいと思っていますが、DVDがあるといいのですが。。。
http://www9.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/soukyoku/20..

BBCによる放送と出版については英語ですが、次にあります。
http://www.albertkahn.co.uk/museum.html
http://www.albertkahn.co.uk/photos/Portraits/A0386.. (写真のモダンな服装の女性は房子妃)

20世紀前半、世界50カ国以上の記録を集めたこの大富豪は1929年の大不況で資産を失い、死ぬまで家に住まわせてもらうという条件のもとにブーローニュの敷地と家財をパリ郊外の自冶体に買い上げてもらいました。それがこの美術館のもとになったわけです。そして1940年、生涯独身であったカーンは80歳の生涯を静かに終えたのだそうです。