Friday, June 19, 2009
今日の一言@ニューヨーク: Do you know what you’re eating?
ドキュメンタリー映画Food Inc.を観ました。アメリカ消費者は、ほんの数社の大企業によって支配されている食品産業の姿を直視すべきである、と警告を発する映画です。大産業化する中で「工場化」する養鶏、畜産と大豆やとうもろこし生産。その現場でいじめられる農家、環境破壊、また一方で食品は安全性を失い、消費者はファーストフードで生活慣習病の糖尿病患者がうなぎのぼり、と抱える問題の深さと広がりを指摘し、様々なケースを紹介していきます。
なんといっても、養鶏の場がひどかったです。ほとんどの養鶏農家は大手2社に支配されており、ひよこの入荷から餌、建物仕様、運営の仕方から出荷まですべてそれら企業からのマニュアルに合意して契約です。真っ暗な建物のなかで、動きもとれない状態で鶏は45日で出荷状態になり、恐るべき早いサイクルで利益を上げるわけです。こんな状態では病気の鳥がいても、農家は黙って処理するしかないわけです。養鶏農家はどこもカメラの入るのを断りますが、ひとりだけ、養鶏農家の女性主人がこの実態を見せたいとカメラを招きいれます。(その後、すぐにこの農家は契約破棄となりました。)
アメリカの大豆はある1社が農家に流通する90%強の種を支配しており、これが遺伝子組み換え大豆なのであります。つまり、この国ではほぼ全員が、遺伝子組み換え大豆とその加工品を食べています。たぶん、とうもろこしも危ないだろうなあ、と思います。大豆もとうもろこしも、姿を変えてあらゆる食品に入っているわけですから、もう絶望的です。私のビールのおつまみ、枝豆冷凍パックも米国産でなく、日本から空輸パックにしなくちゃ。
この映画では、食品と健康問題について数年前に出版されたFast Food Nationや、The Omnivore's Dilemma, In Defense of Food: An Eater's Manifestoという本の作家にもインタビューをし、これらの本の中での指摘する問題にもカメラを向けます。
映画にはひとつのメッセージがありました。We can change the world. つまり、資本主義のアメリカでは消費者ニーズが一番のキーとなる、消費者がオーガニックを求め、季節の野菜を求め、少量でも質を求め、という意識になれば、食も変わる、ということです。すでに大型スーパーのウオルマートでは、取り組みを始めたことも紹介していました。
独立系映画ばかりを上映する映画館なので300席程度と小さい劇場とはいうものの、平日の夜だというのに満席でした。ニューヨーカーの関心の高さにちょっと嬉しい気分となりました。でも、おいおい、ちょっとそこのおにいさん、ポップコーンなんて食べてないで、オーガニックのニンジンでもかじったほうがいいよ、なんて思わされる映画でした。
[写真: ファーマーズマーケットで地元の有機野菜と果物を私は買うようにしています]