最近の話題となっているアート展示を見に行きました。アフリカ系アメリカ人のアーティスト、Kara Walkerによる砂糖を使った巨大な彫刻の展示です。そのタイトル「The Subtlety or the Marvelous Sugar Baby」からして、微妙なニュアンスを秘めています。
展示物は、高さ75フィート(23メートル近く)のスフィンクスの格好をした黒人女性、しかも典型的な南部黒人女性の奴隷を彷彿させる顔つきと頭のヘアバンドが特徴。彫刻はそのベースの上に30トンの白砂糖を固まらせて形作っているというもの。とにかく大きく、ライトアップされてド迫力があります。その砂糖の白さと黒人という設定、矛盾と不条理が表現されているのでしょうか。
そしてその周りには、糖蜜で作った12体の黒人少年像が配置されています。砂糖キビ畑から砂糖製造現場では若い黒人奴隷が働いていたそうで、黒人少年像はそうした働く奴隷のイメージでもあるのです。開催後、数週間で、糖蜜は湿気と暑さで解け始めており、崩れる姿もひとつのメッセージ性があります。
展示場は、ブルックリンにかつてあった製糖工場跡です。その会社自体は今でも別の場所で生産を続けており、この展示物に使った砂糖を寄付したそうです。