香港島中央部にあるいくつかの山道のひとつ、香港林道(Hong Kong Forest Track)を登ってパーカー山(Mt. Parker)に至るコースを歩きました。この山、標高552メートル。山道の途中で、急に平らな部分があってそこにはレンガ作りの妙な物体が並んでいます。2列に並んでいる物体は、ブロックごとに6個づつの穴が空いてます。これ、一体何?
これは、野外キッチン用のかまど、です。
1938年に広東州に迫ってきた日本軍の香港への侵攻が危惧される中、英国軍が長期戦闘に備えて兵士のベースとなる場所を香港あちこちに確保しました。そこには、野外キッチンも備えられ、キッチン用かまども建設されたのでした。そのかまど跡でした。1941年12月8日、太平洋戦争勃発と同時に日本は英国領香港に侵攻し、同年12月25日には英国軍はあっけなく降伏して香港は日本領となりました。超短期戦であったため、せっかく作ったかまどは一度も使われることなく無用の長物となって今日に至ったという代物です。
日本の香港占領は終戦の1945年8月15日まで、3年8ヶ月にわたりました。